同類~侑吾side~

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俺は今年三十三歳だと言うのに、学生時代は勉強、社会人になってからは仕事一筋で女性と付き合った事がなかった。 奥中には話していないが、ファーストキスはおろか女性経験もない。 ――――俺は童貞だった・・・ 奥中の言った通り、恋愛経験ゼロ、それに加え、女性経験もゼロ。 さすがに三十二歳で童貞はダメだな。 俺は男として彼女をリードする立場にある。 なのに、童貞ではリード出来ない。 「副社長、まだ何か悩みがあるんですか?」 「奥中、笑わないで訊いてくれるか?」 「!?」 「絶対に笑うなよ。奥中」 俺は奥中に念を押した。 「実は…俺…童貞なんだ…」 「薄々は気づいていました…社内では全く副社長の浮いた噂訊きませんでしたから…いや、でも万が一、従妹の衣笠さんと…なんて考えた事もありましたけど」」 「どうしてそこで凛子の名前が出るんだ」 「副社長の身近にいる女性って…彼女ぐらいしか思いつきませんよ」 「凛子は従妹だ。性的に見た事はないぞ!」 俺は声を大きくして否定した。
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