同類~侑吾side~

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衣笠凛子(キヌガサリンコ) 俺の父方の親戚筋で社内では御三家の一つとして位置づけられ、彼女の父親は関連会社の社長を務めていた。 彼女自身は父の社長秘書を務めている。 「でも、女性経験なくても、キス位経験あるでしょ?」 「キス…」 「まさか…キスもないんですか?」 俺は幼い時に飼っていたシベリアンハスキー犬のポールが俺の唇を良く舐めていた事を思い出した。 相手は人間じゃないが、ポールの舌先は確かに俺の唇に触れていた。 「キス位ある。心配するな」 「それはいつですか?」 「四歳の時だ。涎も混じっていて…ハッキリ言って不快だった。相手はオスだし」 「それって飼っていた犬とですか?」 「・・・」 俺としたことが早々に嘘がバレてしまった。 「正直に話す…ファーストキスも経験がない」 「それはさすがに…副社長の年齢からするとドン引きしますね…」 俺は奥中の言葉に嘆息した。
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