同類~侑吾side~

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八十三歳。 足腰は弱くなったが、口は達者で頭も切れ、平沢本家を牛耳っていた。 「お婆様は厄介な存在だ」 「社長も副社長も頭上がりませんからね」 「そうだ」 生まれながら体が弱かった弟の世話で手が一杯だった母。 母に代わり俺を養育したのは祖母だった。 祖母は平沢家の跡取りになる俺には厳しかった。 反抗すれば、暗い蔵に閉じ込められ、何度夜を明かした事か… こうしてオトナになった今も蔵に閉じ込められたトラウマだろうか… 俺はエレベーターのような閉塞的な空間が苦手になった。 「・・・でも、俺が彼女を護らないとな…」 「副社長は香澄さんの事を本当にスキなんですね」 「あ…仕事以外で頭を一杯にするのは彼女が初めてだ」
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