同類~侑吾side~

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******* それから三日後。 全面硝子の向こうの空はキレイに晴れ渡り、昼間の麗らかな陽射しが副社長室にも射し込んでいた。 俺が書類に目を通していると奥中が静かな室内に突然響き渡った内線電話を取った。 「こちら、副社長室、秘書の奥中です」 内線先はエントランスの受付カウンター。 奥中が「はい、はい」と受付嬢を言葉を交わす。 「分かりました。折り返し、ご連絡致します」 と奥中は一旦電話を切った。 「副社長、受付に花京院真澄さんが貴方に会いたいとお見えになっています。どういたしますか?」 「何用だ?」 「さあっ」 奥中は首を傾げる。 今日は金曜日。 彼女だって仕事のはず。 仕事を休み又は早退して、この俺に会いに来たと言うのか? 本来、アポなしの一般の人間には会わない。彼女だって社会人だ。 アポを取るのが常識なぐらい理解していると思ったが。 性格が悪い上、社会人の常識も持ち合わせていないのか。 俺は彼女を睥睨した。 しかし、香澄さんと結婚すれば、彼女は俺の親戚になる。 邪険に追い払う事も出来なかった。 「分かった。通してくれ」 「承知しました」
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