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真澄さんが受付嬢の田村さんに案内され、副社長室に入って来た。
「田村さん、ありがとう」
「失礼致します」と田村さんは俺に一礼して出て行った。
真澄さんは副社長室を見回していた。
「天下の平沢商事の副社長室も大した事ないわね…もっと豪華だと思っていたのに…」
「そうですか…真澄さん…こちらへ」
俺は苦笑いを浮かべながら彼女を応接ソファに座らせた。
「奥中、コーヒーを淹れてくれ」
「承知しました」
「お忙しい中、突然の訪問、申し訳ありません」
彼女は一応、俺に謝罪した。
「この俺に何の用ですか?」
俺は彼女とジッと見ながら訊いた。
「・・・私との見合いを断りながら、何故香澄との結婚を進めるんですか?酷いです!!平沢副社長」
彼女は涙ぐみながら俺に恨みつらみを吐き捨てた。
「その件ですか…俺は最初から貴方ではなく香澄さんをご所望していました」
俺は彼女の涙にも動じなかった。
香澄に対する彼女とその母親の悪行をすべては調査済みだったから。
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