未遂のファーストキス

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******* ディナーの後は店を出て近くの公園を二人で歩いた。 手ぐらいは繋ぐのかなと胸をドキドキさせていたけど、侑吾さんと私は肩を並べて歩くだけだった。 すれ違うカップルたちは仲良さそうに体を寄せ合い、歩いているのに。 傍から見れば…よそよそしいカップルだと思われている。 結婚すると言うのに、このままいいのかな? でも、真澄のように男慣れしていない交際歴、経験ゼロの私。 そんな私が彼をリードできるはずがない。 侑吾さんにすべてお任せするしかなかった。 「!?」 侑吾さんが足を止めて、ベンチの向こうの茂みを見つめた。 「どうしたんですか?」 「あそこの茂み…何だかガサガサしているな…」 「え、あ・・・」 私の耳にもガサガサした音が聞こえて来た。 「こんな都心にクマなんていないよな…」 「クマ…ですか?」
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