未遂のファーストキス

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「すまない…勝手に手を握ってしまって…」 真っ赤になっていた私の顔を見て、侑吾さんが謝り、握っていた手を離した。 私の小さな手を包んでいた彼の大きな手。 好意を寄せている彼に触れられていたのに、残念。 「少し、座ろうか?」 そばにあったベンチに腰を下ろした。 「こんな風に夜の公園でゆっくりした時間を過ごすのは初めてかもしれない」 「私もです」 「・・・祖母や父の期待を一身に背負い、父の会社に入って…ともかくひたすら仕事をして来た…周りの人間も俺を社長の息子として常に注目。 会社でも家でも俺は全く気が抜けなかった…」 「・・・侑吾さん…」 「だから…香澄の前では気を抜きたい…」 「構いませんよ…」
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