政略前提マリアージュ～元妻と双子は冷徹な御曹司の一途な溺愛包囲網からは逃れられない～

未遂のファーストキス

「童貞だ…奥中にもカミングアウトした…」

「・・・」

「香澄はその…経験はあるのか？」

「え、あ…私も侑吾さんと同じで交際歴も経験もゼロです」

「・・・お互いにないのか…これは深刻な問題だな…」

私よりも彼の方が深刻に受け止め、真剣に悩んでしまった。

「侑吾さんが真剣に悩むのは跡継ぎの問題ですよね…」

「まぁな・・・」
「・・・」
「・・・これは…光に相談するしかないか…」

「光？」

「槇村光（マキムラヒカル）・・・彼は俺の高校時代の親友で…『東亜医科大付属病院』の産婦人科医をしている…産婦人科医でも産科担当だから…光も多忙なんだ…お産は昼夜問わずだからな。でも…来週は学会が「ドラゴンホテル東京ベイ』である…久しぶりに会う約束をした…光には君の事を紹介したい」

「・・・来週のいつですか？」

「水曜日だ」

「分かりました…空けておきます」

そのまま、ファーストキスは未遂に終わってしまった。