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花京院邸。
セレブの街として名高い田園調布の高級住宅街の一角に邸宅を構えていた。
私は大学の進学を機に不仲だった家族とは離れ、一人暮らしを始めた。父と異母妹には会社で顔を合わせているが、お継母様とは滅多に顔を合わせなかった。
しかし、父に週末は邸宅に来いと言われ、渋々顔を出した。
「あら、香澄さん貴方も来たの…貴方は相変わらず野暮ったいわね」
「・・・」
邸宅に入った途端、私を待っていたようにお継母様が出て来た。
私に対する嫌味な口調は昔と変わっていなかった。
お継母様の園子さんは私の亡くなった母の実の妹。私から見れば、叔母に当たる人。
私の母は私を産んで直ぐに他界。
私は母の命と引きかえに誕生したと言っても過言ではない。
その後、赤ん坊だった私を世話をしてくれたのがお継母様で、お継母様は母を亡くして悲しむ父に近づき、真澄を身ごもり、後妻の座に就いた。
真澄を溺愛し、私を疎んじていた。
その母親の背中を見ていた真澄もまた私を疎んじた。
私に対する暴力こそないが、言葉の暴力は多々あり、心を蝕んでいった。
父と言えば、私に対する二人の蛮行を見て見ぬを振りをした。
私さえ我慢すれば、私達家族四人は上手くいく。
そう思いずっと我慢したが。
我慢も限界に近づいていた頃に、大学に合格。
それが私の救いになった。
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