平沢家訪問

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私と侑吾さんの結婚はとんとん拍子に進んでいった。 「緊張しているのか?香澄」 「当たり前です」 私と侑吾さんの運転で平沢邸に向かっていた。 今日は平沢家当主であり、侑吾さんの祖母・平沢タミ様と初めて顔を合わせる。 「香澄の気持ち…分からないワケじゃない…」 病弱だった弟の世話で忙しかった母親の代わりを務め、彼を養育した祖母。 祖母の教育は相当厳しかったと訊いた。 「でも、今の俺の居るのはお婆様の厳しい教育のおかげだとは思い、感謝はしている」 彼の父親である平沢社長とは何度も会っていたけど、母と弟には一度もお目にかかっていなかった。 「一つ訊いてもいいですか?」 「んっ?」 「侑吾さんのお母様と弟様は・・・?」 「君には話していなかったな…母と弟は俺が十歳の時に無理心中して…亡くなった」 「!!?」
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