平沢家訪問

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私も母を亡くし、父は叔母と再婚。 真澄が誕生して、四人家族となった。 でも、その家族の中に私の居場所はなかった。 侑吾さんと同じで親の愛情に飢えていた。 お互いに似た境遇の中で育った私たち。 そんな私たちが結婚する。 二人の間に誕生する子供には私たちと同じ寂しい気持ちを味合わせたくない。 親の愛情をたっぷりと注ぎ、幸福に満ちた家庭で育って欲しい。 侑吾さんとなら私の夢見るそんな家庭を築ける気がする。 今日はその夢に近づく為に一歩。 「幸せな家庭を築きましょう」 「香澄…」 彼は私に熱い眼差しを向けた。 すると後方の車にクラクションを鳴らされてしまった。 「・・・青か・・・」 彼は青になった信号機を見つめ、慌ててアクセルを踏んだ。
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