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悔しい。 すごく悔しい気持ちになった俺は、今俺を追い越していった奴を追い越してやろうと階段を駆け下りた。ここのところ運動不足だったことなんてすっかり忘れて、ただただ思いっきり走った。 フッ……、一瞬体が宙を飛んだ。ズダダダダ。 俺の体は見事に落ちた。 2階から1階に降りる踊り場を数段下りたところから、一番下まで完全に落ちた。 「怪我無いですか」 声をかけてくれたのは、さっき俺を追い越していった奴だった。 情けない気持ちへの追い打ち。恥ずかし過ぎる。悲しすぎる。 最後のプライドで 「大丈夫です」 と言って、立ち上がることしかできなかった。 本当は体中が痛くて、全然大丈夫じゃないのに。 とにかくその場を離れたかったから、会社の外へ出た。 曇り空だってのに、太陽がまぶしくて仕方ない。 階段から落ちたのは体だけじゃなかった。 なんとか踏ん張っていた俺の気持ちが、どん底まで沈んだ。 どん底まで落ちると、行動のすべてが遅い。 コンビニまで100メートルもないのに、歩いても歩いても着かない気分だ。 やっとの思いで、コンビニでおにぎりとお茶を買って、会社に戻った。 席について、買ってきたペットボトルのお茶を一口飲んだ。 バタン。 ついてないときは本当についてない。 パソコンを見ながら置いたペットボトルは、底が資料の上に半分乗っていたみたいだ。バランスを崩したペットボトルが倒れて、机の上がお茶でびちょびちょだ。 急いでるっていうのに、なんでこんなことになるんだよ。 どん底の気分にさらに追い打ちがかかる。 机の上を片付けていると課長がやってきた。 「もういいよ。ほかの人に頼んだから。」 俺の気持ちは底なし沼に落ちていった。
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