スキップ、スキップ

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こんな日は、早く家に帰って寝てしまおう。 人気のない住宅街を足元を見ながら、とぼとぼと歩いていた。 角を曲がったところで、人の気配がしてビクッと驚いた。 フリフリの服を着た女の子がスキップしている。 巻き髪をふたつに分けて、耳の上で結んでいる。 くりくりっとした目で、まるでお人形さんのようだ。 でも、どうして俺の家の前でスキップしてる? そう、そこは俺が住んでるアパートの前だった。 しかもアパートの階段の前でスキップしている。 進むことなくその場でスキップしている。 俺の部屋は2階だ。部屋に入れない。どうしよう。 俺は思い切って声をかけた。 「あの、部屋に入れないのでどいてくれませんか?」 女の子はにっこりと笑ってスキップを続けている。 早く部屋に入りたいんだけどな。 「どうしてそこでスキップしてるの?」 すると大きなを目をくりくりと輝かせて 「楽しい気分になるからよ。」 と満面の笑顔で言った。 よく見るとお人形さんのような顔は、笑顔でより可愛らしくなった。 でも、スキップって嬉しいときとかにするもんじゃないの? 気分がいいからするんじゃないの? そんなことを考えていたら、その女の子はまるで俺の心が読めるかのうよに言った。 「嬉しいときもスキップはするけど、気分が落ち込んでいるときもスキップすると、嫌なことを忘れて楽しい気分になるのよ」 そう言った女の子の顔は、さらに笑顔になった。 さっきまで半開きな目で、どよんとしていた俺の顔が、彼女の笑顔を見ていると釣られて緩んでくる。 「さぁ、一緒にスキップしましょ」 え、大人の俺がスキップ?
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