スキップ、スキップ

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躊躇していると、彼女はスキップしながら笑顔で見つめてくる。 彼女の笑顔を見ているだけで、なんだか気分が明るくなってくる。 「スキップ、スキップ」 そう言われても、恥ずかしさが勝ってできないよ。 「スキップ、スキップ!」 彼女の笑顔はさらに魅力的になって花が咲いたようだ。 「スキップ、スキップ!」 「スキップ、スキップ!」 気づくと俺もスキップしていた。 スキップ、スキップ。 なんだか楽しくなってきたぞ。 スキップ、スキップ。 どんどん楽しくなってきた。 俺は、今日あった嫌なことはすっかり忘れて、スキップに夢中になっていた。 スキップ、スキップ! スキップ、スキップ! 「こんばんわ」 はっと我に返って声の方を向いた。 隣の部屋の女性だった。 きれいなひとだ。 「あ、こんばんわ」 スキップをやめて、階段前を空けた。 彼女は何事もなかったように階段を上がっていった。 こんな薄暗いところで、女の子とスキップしてるなんて、どう思われただろう。 女の子はまだスキップしてるのかな。 そう思って、あのお人形のような女の子の方を見たら、スキップをしながら、だいぶ向こうへ行っていた。 「どこへ行くの?」 俺は、もう少しこの女の子とスキップをしていたかった。 女の子は振り向いて、満面の笑顔で言った。 「あなたの気持ちが落ちてきたから、スキップしに来たの。でももうあなたは大丈夫。」 女の子は手を振りながら、スキップで行ってしまった。 俺の気持ちが落ちてきた……って、どういうことか俺にはさっぱり分からなかった。 でも、今日の嫌なことをすっかり忘れることができたから、細かいことはどうでもよかった。 今日はよく眠れそうだ。
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