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「宮原!」
電話を切ったばかりの課長が俺の名前を叫んだ。
嫌な予感しかない。
「締め切りは昨日だぞ!早く出せ!何やってるんだよ!」
「えっ、来週ですよね?課長が言ったじゃないですか?」
と、課長が俺に指示を出したときのメモを取り出して見せた。
「俺はちゃんと今週の水曜だって言ったよ!お前が間違えたんだろ!人のせいにするな!」
えっ?いやいやいや、課長は来週って言ったんじゃん。
でも課長は俺の主張を聞き入れてくれない。
近くにいた人たちは、いきさつを知っているはずなのに、誰も援護してくれない。冷ややかな視線だけを感じる。
「本部からどうなってるんだって、問い合わせが来てるんだよ!早く資料を作って夕方には出せ!」
参ったな夕方だって……。急いでやらなきゃ。
集中して仕事をしていると、急に暗くなった。
昼休みだ。
うちの会社は、節電のために昼休みは消灯される。
でも、今の俺にはそんなの関係ない。暗くてもやらなきゃ間に合わない。
とりあえず昼飯をコンビニに買いに行こう。
エレベーターに乗ろうとしたら、人と荷物でいっぱいだ。なんで昼休みに荷物の運搬なんてするんだよ。
次を待ったのに、またいっぱいで乗れない。
仕方ないから階段で下りることにした。
とぼとぼと下りていたら、後ろから勢いよく駆け下りていく人に抜かされた。仕事の失敗で濡れ衣を着せられた後だったから、階段で抜かれただけで、俺の心は情けない思いでいっぱいになってしまった。
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