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夜空のような精神世界。
星のように輝くは人々の精神。
一羽の白い鳩がどこかを目指して飛んでいく。
精神世界の片隅にあるアジトの中。
応接間のシャンデリアの下、一人掛けのソファに座る三つ揃えのスーツを着た男の指に、白い鳩がとまる。
「どうやらご依頼のようですね」
鳩を優しく撫でる記憶怪盗。
「また依頼人に会いに行くの?」
そう尋ねたのは助手の西藤優花。16才の女子高生。
そして記憶怪盗になる資質を持つ者。
「当たり前でしょう。依頼人と対面しなければ受けてよい依頼なのか判断出来ませんから」
「己の美学に反する依頼は受けない、だっけ?この間2回連続で断ってるもんね。一度会って断るのまどろっこしいから全部引き受けちゃえばいいのに」
「そうはいきません。そもそも人の記憶はむやみやたらと盗むものではないですし、ましてや悪用されるなどもってのほか。……まあ、怪盗なりの矜持というやつですよ」
「はいはい」
「はいは一回!」
「はい!かしこまりました!」
けれど、優花が次代の記憶怪盗かも知れないことを、彼は口にするつもりはない。
本当は助手にしたくもなかったのだが、彼女のあまりの押しの強さに負け、しぶしぶ受け入れたのだ。
「さあ、依頼人のもとに参りますよ」
記憶怪盗に続いて優花もソファから立ち上がる。
「イエッサー!」
そして、記憶怪盗の指から白い鳩が飛び立っていった。
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