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人生を好きなところからやり直せるって言われたら。 誰だって一度は考えたことがあるだろう。 もし神様に言われたら、俺はどこからやり直すかな。 でもさ、 『運命』って、あると思うんだ。 どこからやり直したって、 何を選択して、どんなルートを通ったって、絶対に起こること、絶対に出会う人っていうのは案外決まってるんじゃないかなって。 だからそこは変わらんとして、 それでも、 あの時言っておけば良かったなぁとか、 やっておけば良かったなぁってことは、 そゆとこだけでもやり直したいかなって思うな。 なぁ聞いてる? 「聞いてるよ。」 呆れたように、それでいてそれ以上にうんと優しく笑って、蒼人は俺の髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。 いつもそうだった。 言葉を正しく紡ごうとすればするほど絡れてしまう俺の話を、蒼人はいつだって根気強く聞いてくれた。 自分は難しそうな分厚い本を開いたまま俺の話をうんうんと聞いて、俺が「聞いてる?」って言うと、「聞いてるよ。」って顔を上げる。 聞いてなかっただろって抗議すると、俺の話をすらすらと要約して再生する。 すげぇなって言うと、蒼人はまた笑って、ほら続けてって言うみたいにまた本に目を落とす。 なぁ蒼人。 俺が、蒼人みたいに……は無理でも、ほんのちょっとでも蒼人の話を聞けてたら、俺たち何か変わってたのかな。 それともこれも 『運命』 ってやつなのかな。 蒼人、 蒼人はどこからやり直したい? それとも、 ……。
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