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こんな厚い本、手にしたこともない。
その重さに驚きながら、1ページ、開いてみる。
あれ……
ちょっと……読める。
もちろん難しい単語は分からないけれど、なんとなく内容を追うことができる。
この数ヶ月蒼人に英語をたくさん教えてもらったからだろうか。それとも一度蒼人にどんな話か聞いてるからかな。
ともかくこれは素直に嬉しい。
そのまま数ページ読み進めたところで閉館のアナウンスが流れた。
立ったまま重い本を抱えて夢中で読んでいたので首筋は痛いは腕は痺れるわ。でも、なんだろう。高揚感がある。
借りていこうかとも思ったけれど、本当にこんな厚い、しかもびっちりと英語の本を俺なんかが読み切れるだろうかと思うと踏み切れず、元あったところに差し込んで戻した。
軽く伸びをして、本棚の隙間から出る。
図書館の利用者たちが帰り支度をしてみんな出口に向かっていく。
駆け込みで本を借りようとカウンターにも少しだけ列ができていた。
それを横目で眺めながら、そういえば、本を借りるにしても貸出カード?を持っていないなと気がついた。
もう1年以上もここに通っているのにと、ちょっと愉快な気持ちで帰宅者達の波に乗る。
明日また続きを読みにこよう。
もしかしたら明日は蒼人に会えるかもしれない。
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