ビー玉泥棒

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「僕も『近見ケ原』目指して頑張るけん」  藤さんより難易度の低い問題集を捲って、僕は今出来る限りの勉強を始めた。  突然話題が変わって戸惑う藤さんに、ニカッと笑いかけた。 「......聞いたけんね」  ビー玉泥棒の話はこれで終わりと、藤さんも承知してくれたようだった。  僕らはいつものようにそれぞれ集中して自習した。シャーペンの音だけが教室に響く夕暮れ。  転がって行かないように消しゴムとペンで囲っているビー玉は、紫色の空を映していた。 〈おわり〉
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