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小学生の頃は、友達とよく来ていた駄菓子屋。スーパーの駄菓子コーナーに並んでいるのは欲しくないのに、コンクリート床からくるしっとりとした冷たさを感じながら、懐かしいお菓子に目移りした。
僕がキョロキョロしているのを横目に、玉井は店の隅の小さな冷蔵庫を開けて、ラムネ2本取り出した。
「今日は暑くて良かったな」
「そうやね」
9月半ばの夕方でもまだまだ汗が滲む。僕らは河川敷に並んで座った。
キャップシールを剥がしてカバンの中に捨てる。手のひらでプシュッと瓶の口に玉押しを押し込むと、炭酸が溢れてきた。
こんなの誰が考えたんだろう。天才がすぎる。
ビー玉に邪魔されないように瓶の突起に引っ掛けて、僕はラムネを一気に半分くらい飲んだ。
「なんであの時、ビー玉、盗ったん?」
何気なく聞くと、玉井はチラッと僕を見て、また川の方に目をやった。左の目の下に泣き黒子がある。そういえばそうだった。
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