ビー玉泥棒

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 リュックの中をひっくり返して見ても、周辺の草むらを探しても、ない。  一緒に食べていた友達が持って行ってしまったのかもと、瓶を手に走った。  松田君もいっちゃんも、ほかの男子たちも興味なさそうに「知らんよ」と言ってすぐにボール遊びを再開させた。    絶望で立ち尽くす僕に、「島本君」とみきちゃんが声をかけてきた。 「本当にラムネ持ってきてくれたんやね」 「え、あ、うん......」  背筋が冷えていた。花のような笑顔のみきちゃんに、こうやって開けるんよ、と、原因不明の汗を拭って、キャップを時計回りに捻って開けて見せた。 「へえー、簡単やね」 「うん......」 「............」 「............」 「え? ビー玉、くれんと?」 「えっと......」  みきちゃんは忘れていなかった。僕はなすすべなく、空の瓶を逆さにして言った。 「どっか行った」
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