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京都行きの新幹線の中で部長に痣のことを訊かれた私は、先ほど確認したことなどを話した。
「パッと消えるもんだと思ってたけど、違うんだな」
「私も、そう思ってました」
二人で美味しいと評判らしい駅弁を食べながら、私は一人恥じらっている。
さっきまでバタバタしてたから考えることもなかったけど、隣同士に座って到着までただ待っているというこの特に何もすることがない時間のせいで、今朝の情事を次から次へと思い出してしまう。
部長を見る度に、この指でかき回されただとか、この口でいろいろ吸われただとか、耳元であんなこと言われたとか、生々しい記憶が私を恥じらせてくるのだ。
「なんか顔赤いけど大丈夫か?風邪引いたか?」
おでこに触れようとしてくるので、咄嗟に自分で自分のおでこを覆う。
「風邪じゃないですっ」
「暖房効きすぎてるとか?」
「違いますっ」
「じゃあ俺のこと意識しまくってるとか」
「んっ、は、ま、まさかっ」
「図星だな」
その勝ち誇った顔!キィーッ!経験値の少ない私を舐めている!完全に舐めている!
山の噴火数秒前のような顔をしていたが、部長が急に優し気に笑うから意表を突かれた。
「俺も意識しまくってるから、お互い様だな」
そうして頭をポンと軽く叩いてくるから、なんか、もう、好き。
幸せが溢れてしょうがないから、うんうん頷くしかなかった。
それから駅弁を食べ終わって、景色なんかの話や、週末で良かったですよね~なんて話をしているうちに、部長が睡魔と戦い始めた。
私が元の姿に戻るまで起きていてくれたり、朝は激しく腰を振ってたので、そりゃあ疲れるよね。
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