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第三話テレビ女(後編)
皐月はアパートを借りた。
そこで細々と生活をしていると、アイホンが鳴り響いた。そこには懐かしい友人のメールが届いていた。
その友人のメールを見ると、動画だった。動画を間違えてタップをすると。
砂嵐だった。砂嵐から、だんだんと不気味な音が聞こえてきた。皐月は怖くなって消した。
怖くなった皐月は、狐狗狸の喫茶店にやってきた。
「ほー」
餓狼がタバコを吸いながら見ている。狐々丸はその動画を見て、「ハーン」と言っていた。
灯狸と皐月は首を傾げて、二人を見ていた。
「こりゃあ、えらいもんを持ってきたな」
「あ、悪霊ですか?」
「そうねー、悪霊ねー」
うししと笑いながら、餓狼を見ると、餓狼も笑っていた。灯狸が「どういうことっすか」と聞いた。餓狼が笑いながら言った。
「俺たちのとある部屋にきてほしい」
「え、あ、はい」
皐月はそう言って、餓狼の後ろをついていった。
そこには、テレビが大量にあった。
皐月は悲鳴をあげそうになっていた。テレビは全体には砂嵐状態だった。
「なんで、なんでこんなことするのよ!」
皐月が大声を出した。
「こんなことぉ? あんたがしでかしたことじゃん」
うししと笑いながら、狐々丸が言った。皐月は餓狼にしがみついて「お願い、退いて!」と言っていた。餓狼は退くつもりはないらしく、皐月を突き飛ばして、テレビの中心に行かせた。
「ほら、映し出されるぞ」
「どういうことっすか」
灯狸が再び聞くと、狐々丸が言った。
「見てたらわかる」
砂嵐からいっぺん、虐めの光景を映し出された。体育館裏で、メガネをかけた少女を蹴り続ける女子高生たち、その姿の中には皐月の姿もあった。
「やめて!」
『幸恵ー、さっさと脱げよ』
『ホラー、ぬーげ、ぬーげ』
『脱げないなら、手伝おうか?』
笑いながら、幸恵という少女の髪の毛を掴んで服を切り取っていた。
泣き叫んでいる少女がいた。
「幸恵、ごめん、ごめんなさい」
そう泣いて謝っていると、餓狼が笑っていった。
「それは、テレビ女に聞くんだな」
餓狼がいうち、皐月はテレビを見て懇願した。
「もうしないから許して、私まだ生きていたいの! お願いだから」
目を瞑って、泣き叫ぶ、だが無情にもテレビから手が飛び出して、皐月の喉を掴んで引き摺り込んだ。
「これで全員だねー」
狐々丸がそう言って、部屋のドアを閉めた。
その部屋から聞こえるのは。
『出してー!』
『やだー!』
という声達だった。
「謝れば許してもらえるって考えは甘いよな」
狐々丸がそう呟くと、餓狼も鼻で笑って答えた。
「しかも死なせたとなったら、仕方ねーことだ」
「助けなくてよかったんすか」
餓狼と狐々丸は顔を見合わせて言った。
「俺ら妖怪だろ」
「そうそうこっくりさん、人間の味方でもあり、幽霊の味方でもある。平等に守る愛の戦士だよ」
「さっむ」
灯狸が狐々丸に言った。狐々丸はケラケラと笑っていた。
餓狼は言った。
「これで、テレビ女も寂しくないだろ」
「そうねー」
「仕返しもできるっすもんね」
からんからんとベルの音が聞こえてきた。
全員改めて言う。
「『ようこそ、狐狗狸さん喫茶店へ』」
また、新たな悩みを抱えた客人がやってきた。
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