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第六話 探して(後編)
「狼に、化け狸。ええ素材やないか。俺の式神にしたるわ」
広一はそういって笑っていた。威嚇をし続ける餓狼と灯狸、広一は札を取り出して地面に貼った。
「ゆけ、式神ども」
式神と呼ばれたものは地面から這い出てきていた。下半身はなく、素早い動きで近寄ってくる。餓狼は噛み付いて、式神を潰して行く。灯狸も命を吸い取って食べていく。
「んー、あかんなあ。相性悪いみたいやわ」
そういって微笑んでいる。炎がどんどん近寄ってくる感じがしたが、広一はそれに気づいて札を口に当てていった
「もう二度と会うことはあらへんやろうけど。次会った時、手に入れたるわ。覚悟しいや?」
そういって、消えていった。餓狼と灯狸は人型に戻って窓から飛び出した。
息を切らしていると、駅員がやってきて、電車の火事に気づいて驚いていた。
餓狼と灯狸は小さい獣になって、走り去っていく。
外へと出ると雨が降っていた。
「ここであってるか」
餓狼が人型になって聞いた。灯狸は携帯を取り出して頷いて「あってます」と答えた。
餓狼達は歩いていく、周りを見渡しながら。そこで、子供達が何かをして泣いているのを見て、餓狼は聞いた。
「何を泣いている」
「ば、化け物が」
灯狸はそっちへ目を向けた。そこには女郎蜘蛛がいた。灯狸が子供達を逃すと、女郎蜘蛛が憎たらしげに聞いた。
「お前達は狐狗狸じゃないか。なぜ、人間の肩を持つ」
「人間の肩を持つんじゃない。純粋な子にだけ肩を持つだけです」
灯狸がそう言い返すと、後ろから「そうだよ」うししと笑った声が聞こえてきた。
「狐々丸さん」
狐々丸が手を上げていった。
「ここの井戸見せてくれない? そこに依頼主の死体があるかもしれないからさ」
「許さぬ、我の領域に入るなど」
「火にあたりたかったら、いいけど?」
女郎蜘蛛は無言になって消えた。餓狼達は、井戸のところに行き下を見た。
バラバラの死体がそこにはあった。
「苦しかったな。もう、大丈夫だ」
そういって弔うように三人は手を合わせた。
「狐々丸」
「はい」
狐々丸は口から青い炎を出した。その時、女性が現れた。
『ああ、私の体』
「ちゃんと警察に通報して、死体は持って帰らせる」
「安心していいですよ。この死体は、ちゃんと弔うんで」
「家族の元へ帰るよ」
女性は嬉しそうな顔をして泣きながら。
『ありがとう』
そう言い残して消えていった。
そして、警察にいって、事件性のことを話した。
その後は簡単に警察に捕まる男がいた。
喫茶店の狐狗狸は笑いながら話していた。
「本当、この世って怖いね」
「そうですね」
「ほら、また客人がきたぞ」
チリンチリンと、ベルの音と扉が開く音が聞こえてきた。
「ようこそ狐狗狸の喫茶店へ」
狐々丸が笑顔でいう。
「さあ、お前の悩みを聞こう」
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