第一章

4/9
前へ
/40ページ
次へ
××年8月5日 あのキスした日から何事も無かったように過ごしている。 明日から部活のインターハイが始まる。1年生でただ1人俺はレギュラー入りした。正樹は自分の事のように喜んでくれ、応援にいくと言ってくれた。 嬉しい。優勝したら何でも願いを叶えてやると言ってくれた。 俺と恋人になって?、、、、なんて言えるわけない。 ××年8月9日 インターハイ地区予選優勝した。全国大会が待っている。 正樹は約束だからと、願いを叶えてくれると言った。 本当は、俺と恋人になってほしいけど、でも、デートならいいかな。最近できた、水族館に一緒に行きたいって言ったらOKしてくれた。嬉しい。正樹にとっては、ただの友達との遊びでも、俺にとってはデートだ。 明日が待ち遠しい。 ××年8月10日 正樹と水族館デートした。 そう、俺にはデートだった。 でも、「1年生でレギュラー入りして、しかも大会であんなに活躍して優勝だなんて、親友として誇りに思うよ!」 親友、、、その言葉を聞いただけで、幸せだった心がポキンと折れた。 こんなに好きなのに、親友、、、 本当に不毛な恋だ ××年8月12日 インターハイ全国大会 優勝した。 15年振りの快挙だそうだ。先輩達も仲間も泣いて喜んだ。俺も泣いた。でも、俺の涙は違う涙。 ××年12月4日 この学校は本当にテスト、テスト、テスト嫌になってくる。でも、勉強と部活で余計な事を考えなくて済むから助かる。 相変わらず、正樹とは親友だ。 好き、、、。 ××年1月1日 正樹と一緒に初詣に行った。 近所の寺はいつもは、人が少ないのにこの日に限っては溢れかえる程の人、人、人。 そのお陰で、俺は正樹と手を握れた。 「迷子になりそうだから」と言って誰にも見られないように手を繋ぐと、正樹は子供か?と呆れられたけど、でもそのまま繋いだままでいてくれた。 幸せだ。ギュッ、ギュッと握った。「好き」の意味で。 そしたら、正樹も同じように、ギュッ、ギュッと握ってくれて、俺に笑ってくれた。 正樹も俺の事好きなの? 、、、いや、きっと違う。 切ないなぁ。 ××年4月1日 高校2年生になった。今年は、別々のクラスになってしまった。ずっと一緒が良かったけど、仕方ない。 ××年6月8日 最近、ある人と仲良くなった。 見た目と中身のギャップにまぢうけた。 でも、初めて俺の気持ちを聞いてくれて、親身になってくれた。これから何でも相談に乗ると。嬉しかった。 (誰と仲良くなったんだ?)正樹は疑問に思いながら読み進めていく。 ××年8月3日 久しぶりに正樹の家に遊びに行った。 相変わらず、几帳面に整った部屋だ。 ゲームして、漫画読んで、テレビ見てダラダラ過ごしていた。また、正樹が無防備にベッドで眠り始めた。 俺は、正樹の頭を軽く撫でながら、整った顔を指で謎るった。そして、親指で唇をなぞり、キスしようと顔を近づけた。 キス出来なかった。今日は理性を保てた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加