プローローグ

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『〇〇県教育委員会は今日、県立高校の男子生徒と不適切な関係を持った20代の女性教諭を懲戒免職処分としました。この女性教諭は、生徒との個人的なやり取りを通して恋愛関係に発展したと話しており………』 夕方のニュースが耳に入る。 僕はまだ、この手のニュースを聞く度に思い出してしまう。 「最近こういうの多いよね。わいせつ教員っていうの?法律とか条例も厳しくなってきてるのにね〜」 新築の香りが残る一戸建てのリビングに、秋の食材をふんだんに使った夕飯の匂いも混ざる。 僕の前に夕飯を一通り並べた彼女が、ニュースを見ながら呟いた。 「……ありがとう。いただきます」 僕は彼女の言葉に触れることなく、目の前に出された夕飯をすかさず手に取る。 彼女は特に気にする様子もなく向かいに座って自分の食事を始める。 今はこうして築けている平凡だけど幸せな日常。 だけど僕がこんな人生を送ることができているのは…… 小学生時代に出会った、あの人のおかげなのだ。
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