奇妙なお茶会

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「だ、大丈夫。魔女じゃないよ」 「嘘だー!」 「ホントに魔女じゃないです」  魔女じゃない証明ができない。 「おい!初対面の女性に向かって魔女って失礼だぞ!」 「うわー!」  倫は男の子に怒ってますます泣かれる始末。  これじゃ一緒に家族を探すどころか、私達が不審者になってしまう。 「どうしたの?」  男の子と一緒にしゃがんで動かない私達を不思議に思ったのか、引き返してくれた一馬さんと笛木さん。  二人の善良な美しさに後光が射して見えた。 「笛木さん、助けて」 「ちょっと!何!?」  涙目で笛木さんの腕を掴み、男の子に見せつける。 「ほら、妖精のお姉さんだよ。怖くないよ」 「妖精さんだー」 「妖精って何!?なんなの!?」  困惑する笛木さんを引き連れ、とりあえず迷子センターに向かおうと男の子の手を取った。 「あ……」  魔女と手を繋ぐのは怖いか。  そう思い直して、そっと手を離す。 「妖精のお姉さんと手を繋いで行こうか」 「うん」 「なんかよくわかんないけど早く迷子センター行こ。次のパレード始まっちゃう」  笛木さんと男の子が手を繋いで歩き出すのを微笑ましく眺め、後ろからついて行く。  少し歩いたところで、母親らしき人が男の子めがけ勢いよく駆け寄った。
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