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〝いろいろあります、ほのぼの屋台〟。手書きの文字でかかれた看板にそうある。彼女は、通院の帰り、少しだけいつもとは違う道で家路をたどっていた。その帰り道の商店街の、一角。
(ほのぼの屋台。屋台のお店か。)
ちょっと見てみよう。ふらりと立ち寄ることにする。置き物が並べてあると思い、雑貨屋さんかな? と思えば、お漬け物や、おはぎづくりのセットというおもしろいものもある。絵画もある。焼き物もある。おみくじもある。
(何だろう、このお店。何屋さん? おもしろいお店)
すると、色々な商品に惹かれ眺めている中で、目に入った紙のメニュー。
『おいしい冷凍ギョーザ、あります』
餃子かぁ。ふと、想いを馳せる。何か調味料をつけてもつけなくても、具の素材の味が活きていたら、そのままイケてしまうし、餃子に合う調味料を選んでみるのも楽しかったっけ。作るのは大変だが、調子が乗れば楽しい。おいしい食べ物。思い出すだけで、お腹がすく。
けれど、最後に食べたのはいつだっただろう。もう、思い出せない。厳しい食事制限は、彼女の心をむしばむほど、辛く長く思える境遇と、時間だった。
(食べたいなぁ。)
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