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主治医の先生に、彼女は思いついたことを提案した。本当に、おいしさに感動した、ほのぼの屋台に置いてある餃子だけを食べる。その代わり、それ以外の食べ物は、一切我慢する。
先生は先ず、餃子に使われている、材料の成分を調べた。もちろん、病気に障る不健康なものが少しでも入っていたら、だめだ。が、驚くことに、おいしい餃子には、その無駄なもの、食事療法をしていくうえで不健康なものが、〝一切入っていなかった〟。
本当に、無駄のない餃子だからこそ、おいしいと感じたのかもしれない。無駄のなさにこだわるお店の、職人さんの腕が、よほど良かったのかもしれない。いずれにしても、主治医から許可が出たのだ。おいしい、ほのぼの屋台にある餃子だけなら、好きなだけ食べていい、と。
そのときの彼女の歓びといったら、どれほどのものだっただろう! 彼女は、好きな食べ物がまったく食べられない闘病生活で、しんでしまってもいいとまで思っていた。そうだ、前が見えなくなってしまいそうな寸前まで、諦めていたのだ。けれど。
餃子が、生きる希望。生きていくための光に、繋がったのだ。
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