初耳

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初耳

「でかいな」 大きな校舎の前に立ち尽くして校舎を見上げた。 古い伝統のある学校と聞いて、古めかしい校舎をイメージしていたのに、着いてみれば改築されたばかりで眩しいほどに輝いて見えた。 正門から中に入ると庭木の手入れの行き届いた庭園が広がってその先に校舎が聳え立っていた。 ジーパンにTシャツ、その上にフード付きのオレンジ色のパーカーを着て斜めがけバックを下げている俺はため息を着きながら、校舎の入口に向かった。 ここは全寮制の男子校。 有名なセレブ校。大会社の社長や政治家、芸能人などの息子が入学していると噂には聞いている。 俺とは無縁だったはずの学校に俺は、今日、編入することになっている。 親父の期間不明の海外派遣が決まり、高校に通っていた俺は叔父が教師として勤めているこの学校に編入することになった。 1人暮らしでもいいと言ったが、両親は断固として反対し、叔父の後押しもあってここに編入することになったのだ。 両親は今朝、そろって海外に出発した。俺はその見送りした足でそのままここへやってきた。 夏休みもすでに終わり、明日から10月という中途半端な時期に。 「どこ行きゃいいんだよ」
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