自覚と嫉妬

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それって、独占したいってことだろうか。 園田先輩の『素行』とは特定の恋人を持たないとかってことだろうか。 「一臣は関係ないよ。俺と園田の問題から」 梓先輩は笑って、「一臣が気になる?」と聞いた。 「いえ、同室なので」 「そう?」 妖艶に笑いかけられてたじろいだ。 「な、何ですか?」 「だって、俺と一臣のこと勘ぐったし。一臣のこと気になるのかと思って」 「違いますよ。回りが梓先輩と桃香先輩は仲がいいって言っていたから、そうなのかと思っただけです」 「仲はいいけど一臣とは違うから。付き合ってるとか、園田と三角関係とか言われているけど、全く関係ないから」 「じゃあ、園田先輩と恋人同士になりたいってことですか?」 「響ちゃん。可愛いね。それは内緒だよ」 『響ちゃん』と甘い声で呼ばれてどきりとした。 無駄に色気を振りまかないで欲しい。 「でも、桃香先輩は次のテストで副寮長になってもらうって躍起になってますよ」 「そうみたいだね。俺、ちゃんと一臣に話したんだけどな。本当、一臣は子どもなんだから」 「じゃあ、帰ってこないんですか?」 「指名されても断るよ。一臣も分かってると思うんだけどね」
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