奪われる想い

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奪われる想い

2人を見送って寮に帰ると、「響君っ」と春が驚いた顔で飛び出して来た。 「何?どうした?」 「ど、どうしたって、こっちが聞きたいよ。いつまで経っても帰ってこないから何かあったんじゃないかって心配してたんだよ」 「あ、え? そうなんだ。大丈夫だよ。ちょっと校内で迷子になったけど梓先輩に送ってもらったから」 「梓先輩に?」 春の後ろには相良先輩がいた。 「相良先輩も心配してくれたんですか?すいません。大丈夫です」 そういうと、「飯に行くぞ」と食堂に向かって行った。 「桃香先輩が響君が帰ってこないって言いに来てみんなで心配してたんだ」 「桃香先輩が?」 俺を心配して探してくれたってことだろうか。 「うん。相良先輩に帰ってこないけど、僕のところに来てないかって聞きに来たって」 「そうなんだ。桃香先輩とはさっき寮の前で会ったよ。梓先輩と出て行ったよ」 俺の心配をしてくれていたのなら俺の名前を呼んでくれてもいいのに。その上、俺は睨まれて置いてきぼりだし……。 「どうしたの? 響君」 「桃香先輩、俺の心配してたの?」 気になって確認してみる。 「心配してたよ。夕飯の時間になっても帰ってこないから」
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