奪われる想い

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「それ、桃香先輩から聞いた?」 あの声で。 「ううん。相良先輩から」 そっか。それでも喋らないのか。 「何で?」 「いや、喋ったのかなぁと思って」 食堂からは夕飯のカレーの匂いが漂ってきて食欲を刺激する。 メインはカレーだが、トッピングが選べるようになっている。週末はカレーになることが多いそうだ。 俺はカツカレーにチーズをトッピングして春と共に窓際の席に座った。その横には相良先輩が待っていて、カレーにエビフライを乗せていた。 「響君、後藤先生のところからの帰りに迷って、梓先輩に送ってもらったそうですよ」 「そうか。何も無ければよかった」 「何も無いですよ。俺、男ですよ」 「編入生ってことで注目されているからな。1人でウロウロするなよ」 「気をつけます」 春のトレーにはカレーにチーズが乗せられているだけだった。 「で、桃香はどこ行ったんだ?」 「梓先輩と出て行きましたよ」 相良先輩は「ならいいか」と頷いて食べ始めた。 部屋に帰ってシャワーを浴びてソファーに座っていると桃香先輩は帰ってきた。 「桃香先輩っ。あの、心配してもらったみたいで。すいません」
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