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1人の若い教師が立ち上がってこっちに来ると桃香は頭を下げて職員室から出て行った。
「比嘉君だね。今は授業中だから先に寮の方に案内するよ。荷物は先に届いているから。俺は用務員の芝田(しばた)」
「用務員?」
「授業中で先生たちは出払ってるから。叔父さんだっけ?後藤先生も今は授業中だから私が案内を頼まれてるんだ」
「そうですか。よろしくお願いします」
用務員の芝田は焦げ茶色の繋ぎの作業着を着ていて、「俺は教師じゃねえから」と言って俺を連れて職員室を出た。
「比嘉君の寮はB棟の401号室。さっきの桃香君と同室だから」
「え? 同室?」
学校の資料と共に届いた案内には個室と書かれていたはずだ。だから俺も個室だと思っていたのに。
それも、さっきの桃香という生徒と?
それならそうと話してくれればいいのに。
「寮はAからCまであって、今、全部埋まっているから。副寮長が決まればそこが空くからしばらくは我慢して」
「副寮長?」
「桃香君は3年で、B寮の寮長。寮長と副寮長は同室なんだけど、ちょっとごたごたしてまだ副寮長が決まってないんだよ」
苦笑いでそう言うと、校舎を出た。
寮は校舎から少し離れていた。
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