初耳

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頷きながら話を聞いているうちに目的の階に到着した。 一番端の角部屋。 言われたとおりに学生証をスライドさせると鍵は開いた。 「桃香君達は朝ここで簡単な寮長会をしているようだから明日にはメンバーに会えるよ」 「はあ」 部屋に入るとそこに下駄箱があり、たぶん俺用に空けられた場所だろうところに靴を押し込んだ。 ドアを開けるとすぐにソファーの置かれたリビングがあってその奥に対面式のキッチンがあった。 「すごいですね」 「ここは特別室だからね。他の部屋は寝室兼自室だから一部屋だよ」 寮長と副寮長が一緒に暮らすからだろうけど、豪華な造りに感心した。 「比嘉君の部屋はここ」 言われた部屋はリビングとドア一つで繋がっている。その隣のもう一つドアはきっと桃香先輩の部屋なのだろう。 「桃香君がそっちで、その奥がシャワー室、手前がトイレだから」 頷きながら自分に充てられた部屋のドアを開いた。 部屋の中央にはセミダブルのベッド、壁側には本棚と学習机。その横には作り付けのクローゼット。ドアは開け放たれて事前に送った俺の荷物が入ったダンボールが置かれていた。 真新しい制服はそのクローゼットの中に掛けられていた。
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