空が落ちてきた日

1/4
前へ
/4ページ
次へ
 あの日、僕たちは空を失った  太陽や月の代わりに僕らを照らすLED照明。木々が丁寧に並んだ通路を僕は走っていた。放課後、学校帰りでの友達との駆けっこだ。靴が床を叩いてカンカンと高い音を通路中に響かせる。  僕たちはずっと地下のシェルターで暮らしている。いや、シェルターと呼ばれていたのはとっくの昔の話で今ではここが僕たちの街だった。僕たち人間はある時を境に地下での暮らしを余儀なくされていた。    はじまりは僕がまだ小学校の低学年だった時のことだ、いつものように平穏な日々を送っていたそんなある日の事。ずっと続くかと思われた僕たちの平穏はあっけなく壊れてしまった。  空が落ちてきた  あの時はみんなパニックで、僕も何がどうなっているのか分からなくて空が落ちてきたというのが一体どういう事なのか全く分からなかった。とにかく大人の人たちが空が落ちてきたと叫んでいたのを覚えている。僕たちが住んでいた地上はことごとく燃やされ、破壊された。    僕たちは運良く、この地下の町に逃げ込む事が出来たけど、世界中で大勢の人が犠牲になってしまったらしい。    それだけではなく、地上は体に悪い真っ白な雪が降り続け、とてもじゃないが人間が住めるような状態では無くなってしまって、人間たちはずっと地下で暮らす事になった。それは僕がもうすぐ中学生になるという今日までずっと続いていた。    僕はもう空がどんな感じだったのかほとんど思い出せないでいる。学校の授業でまだ空が存在していた頃の映像を見る事もあったけど、それを見てもなんだか実感が湧かず、ただ空想を眺めているそんな気分だった。 この地下の町に住み始めてから、大人たちはずっと誰が悪いとか、誰の責任だとか、きちんと説明をしろだとかずっと言い争っていた。大人たちは長い間、そんな話を続けていたけどそれで何かが変わるなんて事は全くなくて、そのうちに大人たちも飽きたのか次第に言い争いは収まった。    やがて、みんなで協力してまた地上で暮らせるようにしようという意見が出て、その時はみんなが喜んでそれに賛成していた。もちろん僕も、そしてお母さんやお父さん。先生や友達もみんな賛成して盛り上がっていた。だけどまた大人たちは誰がリーダーになるのかとか、あの人はダメだとか難しい話ばっかりで結局その計画は全然進んでいない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加