⒈ 白緑の吐息

7/24

291人が本棚に入れています
本棚に追加
/133ページ
「そうですね~…」 凛々子に話しを振られ、安西は少し考える。 「私の経験談ですが。」 と、前置きを置き話しを続けた。 「付き合いだしてから好きになった事は、ありますね。いやな人ではなかったので、まぁ、付き合ってもいいかな~と。ま、好きになった後に嫌いになって別れたんですけど。ご縁がなかったんでしょうね。私の赤い糸は彼女には繋がってなかったんですね~。」 ハハッと笑いながら安西は話す。 彼は物腰が柔らかく、女性に対して優しいので大変モテている。 「色男の話しは当てになんない…」 苦笑いでため息を吐きながら圭はつぶやく。 「直感は大事ですよ。ファーストインプレッションはよかったんでしょ?」 否定ができず、赤くなる顔を隠すように手で顔を覆い隠し俯いてしまった。 凛々子と安西は楽しそうにニヤニヤと笑いながら、圭を見つつアイスティーを飲んでいる。 「…呼びつけますか。」 「呼びなよ。LINE交換したんでしょ。」 「いやいやいや、何言ってんの。」 テーブルに置いていたスマホを慌てて握った拍子に、指紋認証でロック解除された。さっと安西は腕を伸ばし、圭の手の中のスマホを奪い取り「はい、凛々子さん。」と凛々子にパスした。 凛々子はスマホを操作し「どれ?見たことない名前…、柴崎⁈」と圭に問う。 「…っちがう。」 正解。彼の名は、柴崎充哉。 圭はよく言えば素直で、口数が少ない分感情が顔に現れやすい。 「『会って話しがしたいのですが、今から会えませんか?』と。はい送信!」 天然でゆるっとした圭とは違い、凛々子はシャキシャキとした性格をしている。思い立ったらすぐ行動するタイプだ。 「凛々子~!?」 圭は顔を赤くしたり青くなったりと大忙しだ。 「あらやだ、すぐ返事きた。今から会えるそうよ~。位置情報送信したから」 仕事が早い。 「凛々子~?!」 凛々子からスマホを取り返し、画面を確認する。 『近くなので、すぐ行きます♡』とすぐに返信が来た。
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

291人が本棚に入れています
本棚に追加