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優しく愛おしそうに指を絡める。強く握ると折れてしまいそうな細く白い指。
心臓の音がうるさく感じる。
「ありがとうございます。パンダかわいい。わざわざ持ってきてくれたんでしょう?うれしすぎて心臓とまるかと思った。」
圭の顔から眼をそらさず、圭の一挙手一投足を見逃さないように見つめる。
耳まで赤らめてうつむいたまま顔を上げない圭の耳元に口を寄せ、
「ねぇ、圭さん。」
甘くとろけそうな声音で圭の名前を呼ぶ。
圭はぴくっと肩をゆらして、おずおずと顔を上げる。
「好きです。」
目が合ったとたんに充哉はそう伝えた。
「圭さんが好き。」
優しくはにかみストレートに気持ちを伝える。
「あなたが好きです。」
ずっと伝えたかった言葉。
あなたを一目見た時から、高鳴る気持ちをずっと抑え込んでいた。
好き。
大好き。
一方、圭はというと、
お土産を持ってきただけなのに、こんなことになっている。
戸惑いと緊張と恥ずかしさ。
いきなり、かなり年下の男の子から猛アプローチを受けている。
困った。
男性経験が多いとは言えないので、こういう場合どうすべきなのかが分からない。
圭の顔に「困った」と書いているのが見て取れたので、充哉はパッと絡めとっていた手を放し、ニコッと微笑んだ。
「LINE交換しましょ。スマホロック解除して貸して?」
充哉の笑顔には有無を言わさない力がある。
圭は素直に言われるがままにスマホを渡した。充哉はササっと登録し圭にスマホを返した。
「柴崎充哉といいます。ちゃんとお名前伺ってもいいですか?」
「忍成圭です…」
充哉はふわりと微笑み「順番が変になっちゃったね。」と笑った。
「圭さん。俺はあなたのことが大好きです。ゆっくりでいいので、またお返事聞かせてください。」
そういうと、またと手を振り充哉は店に戻っていった。
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