⒈ 白緑の吐息

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翌日―――――――― 圭の自宅マンションは、充哉のバイト先のほど近くにある。 充哉は送られてきた住所をもとに、地図アプリを駆使してマンションの外にたどり着いた。 「うわ…」 見上げるとめまいがするくらいの高層マンションだ。 賃貸ではなく分譲マンションだと、基が言っていた。 昨夜はアレから圭衣についてネットで調べた。 人気アイドルグループに楽曲提供していたり、雑誌にも結構でてたり。 父親が超有名作家だったり、弟が毎日CMで見かけるくらいのやばいスポーツ選手でオリンピックでてたり現世界王者だったり。 酒飲みのヘビースモーカーだったり、料理が全然できなかったり。 ネット情報なので信ぴょう性に欠けるが、たくさんの情報を得てしまった。 圭について多く知らないが、あのふにゃふにゃした感じからは想像できない。 『圭』と『圭衣』ではスイッチが切り替わるのか。 なかなか女子がキャーキャー言うカッコイイ圭衣を思い浮かべられないでいる。 マンションのエントランスホールに入る。 教えられたとおりに解錠し中に入っていく。 白と黒を基調にした豪華さとシックさの中、充哉は場違い感を否めないでいた。 〝こんなとこって一部屋いくらするんだろ〟 そんなことを考えながらエレベーターに乗り込む。 エレベーターは高速で駆け上がる。 〝たしか、上に行くほど高いんだよな…〟 目的の階につき、圭の部屋を探す。 玄関から玄関が遠い。 部屋番号を確認しドアベルを鳴らす。 外側には聞こえない作りなのか、鳴ったかどうだか不安になる。 しばらくすると扉が開かれ、見知らぬ男が立っていた。 〝あれ、部屋間違えたか??〟 長髪の男性は充哉を招き入れ「圭ーーお客さーん。」と奥に向かって声を発する。 〝は?誰、この男??〟
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