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これが、運命の人というのなんだろうか。
今まで何人かの女性と関係性をもってきたけれど、これほどまで狂おしく恋焦がれたことがない。女性にだらしがないと基や父に言われてきたが、圭に逢ってからというもの他の女性に一切興味がなくなった。何人かに告白もされたが断っている。今までなら、フリーだし付き合ってもいいよ、というスタンスだった。
「好きだよ。」
ふざけて言っていない。真摯な瞳で静かに告げる。
「好き。」
そういうと、充哉は圭から少しだけ離れた。
「充哉…、ありがとう。」
ふわっと微笑みかけ「お茶でも淹れようか。」と立ち上がりリビングに向かう。
〝かわいいーーーーーーーーー!!!!!〟
リビングをぬけキッチンに言った圭の後を嬉々としてついていく。
キッチンに立つ圭を後ろからギュっと抱きしめ「ねぇねぇ。」と呼びかける。
圭はビクッと肩を揺らし、小さく息を吐く。
「思ってたけど…」
と切り出す。
圭のお腹にまわした腕に力をいれて「なに?」と返す。
「なんて言うか、距離がちかい…」
やかんに水を入れて火にかける。
「いや?」
耳元で囁くと、またビクッと肩を揺らし「擽ったい」と身をよじる。
〝へぇ~、耳弱いんだ〟
「ハハッ、かわいいなぁ。」
充哉の腕から逃れた圭は、マグカップを探しに行く。
マグカップをふたつ並べる。
ティーポットに茶葉を入れ、お湯が沸くのを待つ。
「ね、キスしていい?」
唐突に言い出す。
にこにこと笑顔で圭の返事を待つ。
隙だらけの彼女の唇を勝手に奪うことは容易そうだが、ここはあえて返事を待つ。
にこにこ口角を上げて笑顔ではいるが、目の奥が笑っていなく拒否させない圧がある。後ずさろうとするが、背後はシンクだ。
「うん…」
小さく返事すると、充哉の腕が腰にまわされる。
反対の手であごを掬い上げられ、ちゅっと触れるだけの口づけをする。
「…かわいい」
おでこをコツンとくっつけて優しく微笑む。
「かわいい…好き」
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