⒈ 白緑の吐息

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終演後の楽屋――――――――― 汗をぬぐいメイクを落とし、ソファーでスマホを見ながらビールを飲んでいる。 充哉からのラインを見て、つい頬が緩む…。 充哉がどこに居たのかはしっかりと認識していた。 楽しんでくれたことが、素直にうれしく感じる。 「ニヤニヤしちゃって…」 花音が煙草を吸いながらビールを持って隣にドカッと腰かけた。 「お疲れ」とビール缶をコツンと当てる。 「…彼氏来てたじゃん。」 花音の楽しそうな囁きに、ビールが入ってはいけない所に入ってしまい激しくむせる。そんな圭を見ながら、花音は楽しそうに喉奥で笑っている。 「何なに何の話し?圭の彼氏がどうしたって?」 小さい声で話していたはずなのに、なぜか聞き取っていた唯人(ゆいと)が嬉々として近づいてきた。 「この地獄耳が…。何でもない。」 「イケメン年下彼氏がなんだって?」 なぜそこまで知っている…。 数日後―――――― 圭の自宅に充哉は来ていた。 人をだめにすると噂の大きなクッションで、ダメになりかけている圭。 「アイスコーヒー入ったよー。」 カフェでバイトしているので、コーヒーを入れるのが上手だ。 テーブルにコーヒーの入ったグラスをふたつ置き、うたた寝をしている圭に覆いかぶさる。 「圭…?」 そっと唇を塞ぐ。 「コーヒーにする?それとも俺?」 至近距離で目を合わせ、二人で笑いあう。 「どっち?」
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