⒉ 花浅葱の芽吹

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「サディスト系の王子様らしいですよ。」 「へー、おもしろい。」 「………」 「花音に釘差されたんだろ?」 「仕事幅を抑制するような王子様はお断りしたい。圭は需要がある。」 話しをはぐらかす漣に対してストレートに物申す。 「だから、圭の恋愛に反対か?」 「賛成できない。…圭はきっと依存する。」 「マゾヒストの気があるからな。サディスト王子にはときめくだろうな。」 あくまでも話しをはぐらかそうとする漣にイライラしてきている。 「私は真面目に話しているんですけど。」 「恋愛は楽曲制作の糧とならないか?相乗効果も期待していいんじゃないか?愛だの恋だのきれいな言葉で言うが、恋愛なんてただの相互依存か利害の一致だ。 俺も実際そうだし、唯人なしでは自我が保てないな。あいつらが俺の手を離れて会えない時間ができて、最初はたまらなく嫌だったよ。 だが、ほら、なんとかなってる。あたたかく見守ってやらないか?」 圭の抱えている仕事は少なくない。 たくさんのお金がまわる。 もし、仕事より彼をとった場合の損失を考えると手放しで応援できない。 唯人の強ポジティブシンキング強メンタルと、圭を同じに考えてはいけない。 圭はクールとよく評されるが、クールではない。 表情が乏しいだけで、ド天然のマイペースなのんびり人間なのだ。 なにより、メンタルがブレブレだ。 「冠城は、本当に圭大好きだな。」 手のかかる子ほど可愛い。 「金の生る木は大好きですよ。」 「そう。…ツアースタッフにバイト1枠増やせないか?松本のフォローで大変だろ、雑用枠増やせるか?」 「…そりゃ、猫の手も借りたいですけど。素人のガキですよ?」 「チェキ撮ったり弁当配ったりくらいできるだろ。それに、近くで関わってみた方が、早苗姐さんも安心だろ?」
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