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きれいな顔をした男の子に急に上目遣いで話しかけられ、返答に困っている。
何度となく通った店で、お互いに顔見知りではある。話しなんてしたことはないのだが。
「お仕事ですかいつ帰ってくるんですか」
もう一度同じ質問を投げかける。キラッキラした瞳で。
「うん…しごと…」
若干引き気味なのがわかるカタコト。
「1週間?」
「うん…」
「海外?」
「うん…」
「ひとりで?」
「ううん…」
「会社の人と?」
「うん」
一問一答方式になっている。
だが次第と彼女の緊張や不信感が薄れていったのか、表情が柔らかくなってきた。
「そっかー……さみしい」
捨て犬のような顔でつぶやく。
少し目を見開いた後、ふふっと笑った。
「さみしいんだ」
口元を手で隠してクツクツと笑っている。
゛えーー。ちょーかわいいんですけどーーー″
口から飛び出しそうになった言葉を手で押し止める。
たくさんではないけれど、言葉を交わしてより自覚する。
困った顔、戸惑った顔、訝しんでいる顔、そしてはにかんだような微笑み。
口元に添えられた手。
すべてにおいて可愛さしかない。
愛おしい。
好きだ。
「いらっしゃーせー」
居酒屋か!?と言うくらい元気な基の声に充哉はハッとして立ち上がる。
「圭、悪い。遅くなった。」
ショートヘアのキャリアウーマン風な女性が早足ではいってきた。
「おはよ。」
片手をあげて女性を迎える。
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