op. 薄い桃色

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お連れ様分のコーヒーとサンドイッチを配膳し、充哉を引き下げる。 「頼んでてくれたんだ。気が利くー。」 「軽く食べていくって言ったの冠城さんじゃん。」 「事務所出る前に経理の小松さんにつかまってさ。」 「小松さんってこの間結婚した?」 「いや、熟年離婚した方の小松さん。」 「知らない小松さんでた。」 「小松さん多いからな。経理と総務で7人くらい?」 「警備も小松さんじゃなかったっけ?」 「そうそう。食堂と清掃にも小松さんいるわ。」 ゛小松さんの多い会社だな!” 基はツッコミを入れたくなったが、盗み聞きはよろしくないぞと自制した。 ゛いっぱい喋ってる。かわいいかわいいかわいい。” 充哉は気づかれないくらいチラチラと見ながら、ランチタイム用にテーブルを整えて回っている。 もうすぐランチタイムだ。 いつもならお客さんでいっぱいになるが、今日の天気だといつもより少ないかもしれない。 二人は立ち上がりトレーを下げようとしている。 「そのままで結構ですよ。」 充哉はサッと声をかける。 「お気をつけて、いってらっしゃい。」 優しく甘めの声で圭に向かって声をかける。 「…ありがとう。お土産買ってくるね。」 と、圭は手を振って店を後にした。 充哉も手を振り替えす。姿が見えなくなるまで背中を見つめる。 「充哉さーん。仕事してもろていいですかー。もしもーし。」 「充哉くーん。働いてくれるかなー。」 基と店長が引き気味に呼びかける。 充哉は急に振り返り、無表情で基に詰め寄る。 「かわいい!!!すきだ!!!!」
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