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掛かってきた電話
着信音が一人の部屋に鳴り響く。
ディスプレイには見慣れた名前が表示されていて、迷わずに通話ボタンをスライドさせた。
「はい」
「湊斗、会いたい……」
耳の奥に届いたのは、今にも掠れて消えてしまいそうなほど小さな君の声……
「どこにいるの?」
「高校の近くの公園」
スマホを片手に家を出て、駆け出していた。
会えばもう引き返せない――
そうわかっているのに、俺は走っていた。
君のいる高校の頃によく寄り道したあの公園へと。
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