全てを包み込むから

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全てを包み込むから

 一度自分の感情の蓋を取ってしまえば、今までひた隠しにしてきた気持ちが一気に溢れ出す。  抱きしめていた体を離し、君の手を取ると、そのまま自分の部屋へと向かっていた。  泣きたいなら泣けばいい――  苦しいならその傷が癒えるまで泣けばいい――  君の全てを包み込むから。  初めて会った時のあの面影はすっかりと消えて、俺よりもずっと強いと思っていたのに、本当は誰よりもピュアで優しい心を持っていることを俺は知っているから。
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