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他の誰かに向ける視線
今まで俺に向けていたはずの視線が一瞬で他の誰かを映し出す。
その相手が君の思いを寄せている相手だということは表情だけでわかってしまう。
「じゃあ湊斗、また明日」
「ああ……またな」
そう手を振って君は彼女の元へと駆けて行った。
その後ろ姿を追いかけながら、胸の奥がまたちくりと痛む。
君の腕に絡まる他の人の腕――
平気なフリをしても心は正直なんだと、痛む胸を隠すように強く拳を握りしめた。
その手に深く爪が食い込む。
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