31人が本棚に入れています
本棚に追加
/194ページ
「まあ二人のペースってあるし、焦る必要もないだろ」
慎司も拓人の方に唐揚げの大皿を移動させる。
「そうそう~いつまでもジメジメした顔してねえで、おまえはこれでも食って元気出せっ!」
「!?」
浩は拓人の口に大量の唐揚げをほうり込んだ。
唐揚げがほうり込まれたことによって歪んだ拓人の顔を、浩はお腹を抱えて笑った。
拓人は上手くしゃべることもできず、ひたすらモグモグと口を動かし、目の前の浩をにらみつけた。
そのときカチャッと小さく音がするのと同時に、『宿り木』の店員かつ拓人の幼なじみの川島美香が姿を現した。
大学を卒業してから、美香はここで本格的に叔父の店を継ぐために修行を始めているらしい。
女性にしては長身で、細くすらりとした体型は今も維持されていて、モデルのように綺麗なのは相変わらずだ。
「追加注文のお酒持って来ました」
「おう! 美香ちゃんその酒、俺~。ってか見ろよ! この拓人の顔! ヤバくね~?」
タイミングよく美香が入ってきたことからなのだろう。浩はおもしろかしく美香に声をかける。
最初のコメントを投稿しよう!