第3章 10◇憧れのライブ

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「TAKUさん、ライブ最高でした。俺ら、最後に兄貴に挨拶して帰ります」  そして、勇斗は拓人の方に向き直って深く頭を下げた。 「いえ、こちらこそライブに来てくださり、彼女のことも本当にありがとうございました」  最後に拓人が二人に深く頭を下げた。  楽屋を出ていく二人を見送ったあと、拓人に手をきゅっと握られる。 「じゃあ桃華、帰るか?」 「え、でもいいの?」 「みんなが後は任せてって言ってくれたんだ。桃華、あまり遅くなったらよくないだろ?」 「う、うん。ありがとう」  今では当たり前のように桃華のそばに居る拓人。  でも今日、NEVERの生のステージを見て、本物のTAKUの恋人なんだって改めて実感させられたからだろうか。なぜだか桃華は、初めて拓人と顔を合わせたときのような緊張感に襲われていた。 「じゃあ、行こうか」 「う、うん」  拓人に手を引かれて、NEVERのみんなとマネージャーに桃華も挨拶をして会場をあとにした。
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