第3章 10◇憧れのライブ

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 本当の最後は、NEVERらしいアレンジのかかったクリスマスソングを、ファンのみんなも交えて歌って終演となった。  ライブを終え、静かな夜が戻る。  ある程度片付けを終えた拓人が、帰り支度をして桃華の待っていた楽屋に現れた。  それまでずっと勇斗と真紀は桃華と一緒に居てくれた。  いざ別れの時間になると、少し寂しい気持ちになる。短い時間だったけれど、本当に二人にはよくしてもらった。 「勇斗さん、真紀さん、今日はありがとうございました」 「桃華ちゃん、こっちこそ今日はありがとうなぁ! またいつか絶対会おうな! 関西来ることがあったら案内するから、教えてな!」  桃華が二人に丁寧に頭を下げると、真紀は桃華の手を取り別れを惜しむようにブンブンと振った。 「真紀、顔酷いことなってんで」 「うるさい、勇斗のアホ!」  涙まで流していた真紀は、勇斗のツッコミに吠えるように言い返す。 「俺らも楽しかったわ。元気でな」  名残惜しそうに桃華のそばにいた真紀を自身の方に引き寄せると、勇斗も桃華に優しい笑みを浮かべた。
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