第3章 11◆聖なる夜のときめき

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 ライブ会場からは、拓人の運転する車で帰る。桃華が見に来てくれたことから、送って帰ることを想定して近くに車を置いていたのだ。  まだ身体は、ライブでの興奮の余韻が残る。  程よいスピードで木々に燈された明かりが流れていく中、拓人はライブでの疲れひとつ見せずに、桃華に優しく声をかけた。 「今日のライブは楽しめた?」 「う、うん」  どことなく言葉をつまらせて、桃華はうつむいてしまった。  ライブが終わってから何となく桃華はよそよそしい。  もしかして、どこか具合が悪いのだろうか。 「どうしたんだよ。まさかどこか調子悪い?」 「そ、そんなことない! すごく楽しくて幸せで、まだ夢を見ているみたい」 「それなら良かった」  拓人は桃華の返事に安心したように笑った。  車が赤信号で停まったとき、拓人は桃華の姿を見て驚いたように目を開いた。何となく桃華がいつになく緊張しているように見えたからだ。  いつもよりも赤く染まる頬に手を伸ばしてみると、桃華はピクリと身を震わせる。 「桃華、緊張してるの?」
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